season's quarterly

数学/物理/プログラミング

2022年度の読書記録

『ハイパフォーマンスWebサイト』

3月にWeb Speed Hackathonに出ていてWebサイトの高速化に興味があった。

『可視化の技術と現代幾何学

CGで用いられる離散微分幾何学とかトゥーンシェーディングなど。微分方程式を解の性質を変えずに離散化するという話が面白かった。

『講座心理学11 精神発達』

発達心理学。人の知性がどのような段階を経て発達するか。ピアジェの発達段階説とか。

『西洋建築様式史(上・下)』

建築系の西洋建築史が取れなかったので借りてきた。

『新幾何学思想史』

ユークリッド幾何学が成立する前後の歴史を当時の数学者達の手紙などから明らかにする。面白い。ガウスロバチェフスキーが少し前に発表されたカントの空間概念にかなり言及していた。カントが空間は先験的だと主張しているのに対して二人は経験的な概念であると考えていたのが現代的で興味深かった。リーマンが「幾何学の基礎をなす仮説について」という講演をしたのもそれなりの背景があったということらしい。数学者も当然のように物理や哲学に通じているのでやはりここは切り離せないなあと思った。

チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来』

主にプリンストン高等研究所で進められた電子計算機開発プロジェクトについて詳しく書かれている。チューリングというよりノイマンが中心的な人物となる。

『近代建築史』五十嵐太郎、横手義洋

日本の近現代建築にも触れられている。

『デザイン的思考 つまようじからロゴマークまで』

デザインに興味があって読んだ。が、デザインそのものの話はほぼなかった。

『アルゴリズミック・アーキテクチュア』

建築におけるアルゴリズミックデザインの話。著者の一人の講演を以前視聴したことがあって興味があった。

www.youtube.com

『ウェブデザインの思考法 機能性と情緒性で導く論理的なウェブデザインの方針立案・構築』

方法序説』ルネ・デカルト

哲学Bで心脳問題を扱ったときにデカルトが出てきたので読んだ。コギト・エルゴ・スムや神の存在証明など。

省察』ルネ・デカルト

方法序説』の内容に加えて心身二元論について。

『岩波講座ソフトウェア科学5 プログラミング言語処理系』

Cコンパイラを作るときの参考として。コンパイラだけでなくインタプリタにも触れている。

ベンヤミン・コレクション1 近代の意味』

『複製技術時代の芸術作品』のみ。技術的複製が芸術作品の在り方を変えたという話だった。

『ジェネラティブ・アート Processingによる実践ガイド』

ほとんどProcessingの話であまり得るものはなかった。

『西洋美学史』

『コンピュータグラフィックス』

CGにまた興味が出たので勉強してた。

『CG Magic:レンダリング

単に手法を示すだけでなく、物理としてどのような理屈を持ってモデル化されるかに言及している。

『集合・位相入門』松坂和夫

位相をちゃんとやろうと思った。

四季 春森博嗣

四季シリーズ第一作。なんかふわっとしてる。

四季 夏森博嗣

四季シリーズ第二作。『春』よりは分かりやすかった。

『脳はいかに意識をつくるのか 脳の異常から心の謎に迫る』

『コンピュータには何ができないか 哲学的人工知能批判』

人工知能の授業で紹介されていた。知性は形式的には記述できずデジタルコンピュータによって再現できないという結論だった。

すべてがFになる森博嗣

再読。

ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』

ノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた作品。映画を小学か中学の時に見たことがある。

多様体の基礎』松本幸夫

松本多様体。丁寧に書かれている。良書とされている本はやっぱり分かりやすいと思った。

微分形式の理論 およびその物理科学への応用』

座標に依らない接ベクトルの定義から  \left\{\frac{\partial}{\partial x^{i}}\right\} が基底となることの証明が載ってた。

ラ・ロシュフコー箴言集』

箴言は格言・名言のこと。よう実のサブタイトルで何回か引用されてる。

『意志と表象としての世界 正編I』アルトゥール・ショーペンハウアー

時空をア・プリオリな直観と考えているのはカントと同じ。一方で出版された時期が非ユークリッド幾何学の発見された時代と重なるのは興味深い。

『皇帝の新しい心 コンピュータ・心・物理法則』ロジャー・ペンローズ

これも人工知能も授業で紹介されていた。

C++の設計と進化』ビャーネ・ストロウストラップ

言語の様々な機能とそれが導入された理由に興味があった。途中まで。

アルゴリズムの自動微分と応用』

自動微分数値計算への応用など。

プログラミング言語の基礎概念』

『型システム入門 プログラミング言語と型の理論』

TaPLとして知られる型理論/型システムの本。単純型、部分型、再帰型、多相性の型安全性や型推論、実装など。型システムはプログラムを安全にする手段の一つに過ぎないと思っていたけど、例外処理やオブジェクト、モジュールシステムと深く関わっているという印象を受けた。

フレーゲデデキント・ペアノを読む 現代における自然数論の成立』

科学史Bの中間レポートで数理論理学の歴史について書くことにしたので参考文献として。自然数論の歴史だが論理学とも関連が深い。

ゲーデルと20世紀の論理学 1ゲーデルの20世紀』

上と同じ。論理に関する哲学的な議論が面白い。

『記号と再帰 記号論の形式・プログラムの必然』

記号論の二つの形式が関数型とオブジェクト指向のプログラミングパラダイムに対応するという話。強引な部分もある気がした。メタプログラミングの話は面白かった。

『現代の量子力学(上)』J・J・サクライ

物理学系の量子力学IIを受けいていたので借りた。3章の角運動量の理論が面白い。

量子論の基礎 その本質のやさしい理解のために』清水明

清水量子論量子論の立場がいくつかあることを説明した上で一般性を失わない記述をしているのでありがたい。基本的な五つの要請から始めていて、細かい部分で主張を明示しているのも分かりやすかった。量子論に限らず物理学一般のスタイルを知ることができる。

『貴嶋先生の静かな世界』森博嗣

主人公の大学院生が貴嶋先生の下で研究の世界にのめり込んでいく物語。

量子力学における群論的方法』

水素原子のシュレーディンガー方程式の解を求めるときに変数分離する根拠が気になっていた時に見つけた。

『相対論とゲージ場の古典論を読み解く』

相対論とかゲージ対称性について軽く復習できる薄めの本。

『プログラミングTypeScript スケールするアプリケーション開発』

軽く読んだだけ。自分にとって新しい言語機能はあまりなかった。

デュシャンは語る』マルセル・デュシャン

芸術Bでデュシャンの話が出てきたので期末レポートの参考文献がてら読んでた。芸術家の創造性についての話など。半分くらいで飽きた。

『科学と仮説』アンリ・ポアンカレ

これも芸術Bでキュビズムの画家が良く読んでいた本として取り上げられていた。初版は1902年で相対論が発表される前だが、現実の空間が非ユークリッドである可能性について言及している。対象を目で追うときの筋肉感覚が成す群から三次元の観念を獲得する、という話をしていて面白かった。

固有値問題30講』

量子力学に出てくるエルミート作用素固有値問題を真面目に勉強しようと思った。

Haskell入門 関数型プログラミング言語の基礎と実践』

モナドとかの話は全然理解してない。

『日本語組版入門 その構造とアルゴリズム

組版に興味があった。組版処理はかなり複雑なことをやっているのだなあと知った。

『数式組版

筆者の組版に対する意識の高さが窺えた。構文の曖昧さによって回避しきれない誤読の可能性を微妙な書体やスペースの使い分けによって極限まで排除しようということらしい。人間の複雑な美的感覚を大量の記号分類と配置規則によって手懐けている、という印象を受けた。

関数解析

関数解析は高校の時に図書館の本で勉強したはずだが、成人式で実家に帰ったときに当時のメモを見つけることができなかったのでもう一度勉強することにした。

『ヒューマンコンピュータインタラクション入門』

なんというか体系化されない知識の集合。

量子力学の数学的基礎』ジョン・フォン・ノイマン

量子力学に数学的な基礎付けを与えた古典。数学書のスタイルで書いていそうなタイトルだが、定理を本文から独立させる書き方をしていたのは2章くらいで、他は普通に物理の本という感じだった。エルミート作用素固有値問題に関して命題を明示していたのは助かった。それ以外は昔の本ということで読みやすくはなかったので読んでない。

『計算機プログラムの構造と解釈』

魔術師本や紫本として知られる計算機科学の古典。Schemeコンパイラを書こうと思って読んでいたLispを実装したくなったら読んでほしい本6選 - Arantium Maestumの中で取り上げられていた。情報工学系の関数型プログラミング基礎の参考書に上げられていたもので内容もほぼ同じだった。

modern compiler implementation in Java

Tiger Bookとして有名なコンパイラの教科書らしい。日本語だと『最新コンパイラ構成技法』。Haskell コンパイラを書こう!で知った。"in C"と"in ML"もあるが内容は同じらしい。東工大図書館では訳書が無く、電子本として"in ML"、物理本として"in Java"があった。洋書をある程度読んだのはこれが初めて。

関数型言語コンパイラに言及しているコンパイラの本は探してみるとあまり多くない。第二部で関数型言語についての章があり、クロージャ変換やインライン展開、末尾呼び出し最適化などを扱っている。が、実装についてはあまり触れられていない。

笑わない数学者森博嗣

S&Mシリーズ第三作。オリオン像のトリックは分かったけど事件の方は分からなかった。算数の問題も面白かった。